既存システムとの連携や独自ECシステム導入コストなど、さまざまな問題を抱えつつも年々拡大を続けているBtoBのEC市場。経済産業省の調査では、2018年のBtoB-EC市場規模は344兆2,300億円となっています。しかし、まだEC市場に参入していない企業にとっては、すでに普及しつつあるBtoB企業のEC化に新たに参入しても勝ち目がないのではと思われるかもしれません。また、参入はしているものの、思ったような効果が出ていない企業も少なくないでしょう。そこで今回は、BtoB企業のEC化が増えている背景から、実際に成果を上げるためのポイントまでを考察していきます。
多くの方が日常的にECを利用している今、それはビジネスの世界でも当たり前になりつつあります。冒頭でも触れましたが、経済産業省が2019年5月に公開した「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2014年に26.5%だったEC化率が2018年には30.2%。市場規模も279兆9,910億円(2014年)から344兆2,300億円(2018年)と順調に成長を続けています。
BtoB企業のEC化が進んでいる理由はいくつか考えられますが、そのなかでも大きいものは次の2点です。
1.業務効率化
少子高齢化が進む日本において、現在、多くの業種で従業員不足が加速しています。そのなかで企業として成長を続けていくためには、業務効率化が欠かせません。EC化もその流れを汲むもので、これまで手作業で行ってきた注文受付、在庫管理、出荷準備などが自動化されることで従業員不足が補えます。また、自動化による別のメリットとして、手動での作業や入力ミスの軽減があります。この2つの効果により、大幅な業務効率化が実現します。
2.販売力強化
EC化が進むもう1つの理由は、販売力が強化される点です。大手企業に比べ知名度が低い、販促費が少ないなどのデメリットを抱える多くの中小企業にとって、EC化は低コストで販売力強化を可能にします。一般的な中小企業は販促費が潤沢ではないケースが多く、どうしても地元以外に進出し、新規顧客の開拓をすることが簡単ではありません。しかし、ECであれば、国内の他地域はもちろん、商材によっては海外との取引ができる可能性も高まります。これまでの足を使った営業活動では実現できなかった国内外の新規顧客開拓を実現するには、EC化は必須だともいえるでしょう。
業務効率化や販売力強化を実現するEC化ですが、導入すれば必ず大きな効果が出るわけではありません。その主な理由は次のとおりです。
ECを導入しただけで販促活動を怠っている
これはBtoBでもBtoCでも同様ですが、すでにECが当たり前となっている今、ただECを導入しただけで必ずしも多くの顧客が興味を示し、商品の購入をしてくれるとは言い切れません。BtoB企業の30%以上がEC導入をしている現状において、先行者優位の時期はすでに過ぎ去っています。競合のECサイトにない 独自性や適切な広告宣伝活動、サイトに掲載する情報の最適化や導線のわかりやすさがなければ、EC化をしても売上を作っていくことは難しいでしょう。
購入者や訪問者に対するケア不足
ECでの商品販売は対面ではないため、そこに人が介在していないような錯覚をしてしまうことがあります。しかし、当然ながら販売している側も購入している側もそこにいるのは人間です。そのため、購入者はもちろん、訪問者に対するケアを怠ってしまうと、すぐに離脱してしまい、再度の訪問は望みにくくなります。ECであっても対面時と同様、もしくはそれ以上にしっかりとしたケアをしなければ、成果を上げることは難しいでしょう。
EC導入を成功させ、継続して利益を上げていくには次の点に注意を払うことが必要です。
競合のECサイトを研究すること
ECの導入に際して、競合のECサイトにはない独自性が必要であると前述しましたが、それはあくまでもコンテンツの話です。メニューや目的の商品ページへ移動するボタンといった見た目、トップページや商品ページからコンテンツページ、購入ページに至る導線の話ではありません。むしろ導線に関してはできるだけ検索で自社よりも上位に表示される、もしくは自社よりも知名度の高い競合と同じようにすることが重要です。
一般的にBtoBはBtoCに比べ購入額が高額になる場合が多いこともあり、顧客は競合のECサイトをいくつも閲覧し、比較検討をします。その際、ほかのECサイトと導線が大きく異なっていると、それだけで離脱の原因になってしまう場合があります。これを避けるには、複数の競合ECサイト、特に自社よりも知名度の高い競合を研究し、顧客が訪問時に違和感なく閲覧できる導線にすることが重要です。
新規顧客との関係性構築の手間を怠らないこと
対面でのコミュニケーションがない新規顧客には、関係構築のため積極的に関与していく必要があります。BtoCの場合、プライベートな買い物であることが基本ですが、BtoBの場合はビジネスのため、顧客が求める情報であれば積極的に関与したとしても、嫌がられる可能性は低くなります。ただし、あくまでも顧客が求める情報であることが重要であり、自社都合の販促にならないように注意しなくてはなりません。
既存顧客をECにうまく誘導すること
EC導入の目的の1つは業務効率化です。これを実現するには、これまで電話やFAXで注文を受け付けていた既存顧客もECに誘導する必要があるでしょう。ECを利用することで、購入時に担当者に連絡して在庫確認や注文受付をしてもらう手間が省けるため、購入する側にとっても業務効率化につながるというメリットを説明し、うまく誘導することが重要です。
先に少し触れたように、2018年時点でのBtoB企業のEC市場規模は、344兆2,300億円で、EC化率(すべての商取引金額に対する市場規模割合)は30.2%と3分の1に近づく勢いとなっています。そのため、新たに参入を検討している企業にとっては、すでに実績を上げている競合とどう戦っていくべきか不安も大きいのではないでしょうか?
EC化することで業務効率は向上しますが、だからといってこれまでアナログで商売をしてきたときのような既存顧客との関係構築を怠ってしまえば成功は遠のいてしまうかもしれません。既存顧客はもちろん、新規顧客ともアナログの時と同様にデジタル上でも手間をかけ、顧客とのメールなどのコミュニケーションにより、継続的に関係を構築していくことが重要です。
しかし、不要な手間をかけていてはECを導入した意味がありません。そこでポイントとなるのが、顧客との関係構築でも自動化できる箇所は自動化していくことです。特に新規顧客に対しては、購入途中での離脱やカゴ落ち対策が必須となりますが、この部分に手間がかかるようでは、業務効率化を実現することは難しくなります。逆にこの部分をうまく自動化することができれば、EC担当者はコンテンツの充実、効果的な広告作成といった販促業務に力を入れられるようになるため、ECを導入する効果はより高くなるでしょう。
BtoBであっても、そこでやり取りを行うのは人と人です。そのため、メールでのコミュニケーションが重要であることは間違いありません。
イー・エージェンシー が提供する「CART RECOVERY(カートリカバリー)」は、メールコミュニケーションもカゴ落ち対策もできる、カゴ落ち特化型MAツールです。
CVに一番近いカゴ落ち対策として、カゴ落ちメール配信はもちろん、カゴ落ちした商品のリマーケティング広告により、顧客が求める情報に応じたメール、広告の配信を行えます。また、これらの施策を最初に設定すれば後は自動でフォローすることが可能です。これにより、担当者の手間が軽減されほかの施策に集中できる環境を実現します。
これからEC化を進める、すでに導入しているがなかなか成果が出ないといった企業は、ぜひ、カゴ落ち特化型MAツール「カートリカバリー」導入の検討をされてみてはいかがでしょう。
※リカバリーメール機能(リマーケティング機能)のみご利用いただくこともできます。
※リマーケティング広告連携機能のご利用は、別途DSPによる広告費用が発生します。