インバウンド旅行者の回復及び増加がECサイトの越境販売の追い風にもなり、「越境EC」は今後伸びるビジネスとしても注目を集めています。しかし、海外販売のためのさまざまなハードルにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
近年は、より手軽に越境ECを実現する方法として、「越境EC支援サービス(購入代行サービス)」とWebサイトを自動で多言語展開できる「Webサイト翻訳ツール」の組み合わせが存在します。
▼越境EC手段に「越境EC支援サービス(購入代行サービス)」を利用
越境EC支援サービスで、決済手段の用意・海外発送・関税手続き・ユーザー対応を代行事業者に任せ、既存のECサイトで海外ユーザーが購入できる環境を実現。
▼多言語表示の手段に「Webサイト翻訳ツール」を利用
越境EC支援ツールではカート内は翻訳できても商品詳細などサイト全体の翻訳はできないため、Webサイト翻訳ツールを既存のECサイトに導入して、多言語表示を実現。
このように、二つのサービスを組み合わせて越境対応を実現する方法です。
コストを抑えることができて手軽なため、注目が集まっています。
本記事では、ECサイトの越境対応にはどのような方法があるのか、そのなかで「越境EC支援サービス(購入代行サービス)」と「Webサイト翻訳ツール」の組み合わせとはどのようなものかをご紹介します。
越境ECは、「海外通販」とも呼ばれ、国境を超えて商品やサービスを販売するEC(eコマース/電子商取引)のことです。
経済産業省のレポート(令和5年度)では、2021年の世界の越境EC市場規模は7,850億USドルと推計され、2030 年には7兆 9,380億USドルにまで拡大すると予測されています。
このような世界の越境EC市場拡大の予測から、日本の越境EC市場も拡大が見込まれると言われています。
また、同レポートでは、2023年の中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆4,301億円(前年比7.7%増)、米国消費者からの越境EC購入額は1兆4,798億円(前年比13.3%増)という推計値が出ており、前年比が大幅な増加傾向にあることも分かります。
また、越境EC市場において「訪日経験者」と「訪日未経験者」に焦点を当て、消費動向の違いを調査したデータを見ると、訪日経験者の方が越境ECの利用経験が高いということが判明しています。このことから、リアルで日本を訪れたことをきっかけに「越境EC」での商品購入の意欲が高まることが読み取れます。
現状、越境販売に対応していないECサイトであっても、ユーザー自身がSNSなどを通じて情報を収集することが多く、欲しい商品が見つかった場合には、代理購入サービスを利用して他国のECサイトで購入する例も見られ、他国の越境ECサイトで買い物をすることへのハードルが低くなってきているといえるでしょう。
国内向けの自社ECサイトを越境対応する方法は、海外での現地販売に比べて、コストを抑えて海外向け販売ができますので、今後越境ECに対応する事業者はますます増えていくことが予想されます。
海外に商品を販売しようとすると、以下のような懸念が想定されます。
このような課題があるため、越境ECを行うには、煩雑な手間と専門性の高い知識が必要になり、こうした点が、これまで海外販売のハードルとなってきました。
しかし近年では、ECモールや越境支援サービスの充実で、こうした課題に対応しやすくなってきています。
では、越境対応方法にはどのような選択肢があるでしょうか。
越境ECサイトの構築から決済や物流、オペレーションの対応まで、全てを自前で構築・整備する方法です。
最も自由度は高くなりますが、コストも最も高くなる可能性が高いでしょう。
すでに、特定の国でブランドや商品の認知度があり、販売予測の立っている場合などに向いている対応方法です。
越境ECの対応手段として、手軽な方法のひとつがモール出店です。海外対応している日本のECモールサイトへの出店、または各国で利用されている海外ECモールに出店する方法があります。
メリット
プラットフォームが提供する決済や配送などのサポートを利用できるため、上述したような、海外展開に関するコストやリスクを減らすことができるでしょう。
また、ユーザーはモール内の様々な商品・店舗を横断的に比較・検討するため、ある程度の集客を見込むことができます。
デメリット
出店や出品にコストがかかる点が挙げられます。また、基本的にはモールの規則に従う必要があるため、モールに依存する点も多いでしょう。
また、各国で利用されている主流なモールが異なるため、各国の人気のモールに出店したいところですが、その分管理や運用のコストが嵩むこともあります。
このように、モールで掲載できる商品が限られ、出店料・手数料がかかることなどから、最近では、モールを認知度拡大、ファン化の入り口に利用し、自社の越境ECへと促すなど、両方に対応する企業もみられます。
ECサイトを構築する際に、ECカートサービスをご利用の場合も多いのではないでしょうか?そうしたECカートサービスにも、越境ECに対応しているサービスがあります。
メリット
海外でよく利用される決済方法の用意や、海外発送への対応、言語対応のアプリが用意されている場合があります。オプションなどの契約追加で利用できる場合があり始めやすく、ご利用のECカートサービスに確認してみるのも良いでしょう。
デメリット
越境対応が充実している他のECカートサービスに変更しようとすると、ECサイト自体をリプレイスすることとなり、ある程度大掛かりな作業やコストになる可能性があります。
冒頭で紹介したこちらのサービスは、導入するとECサイトに専用カートが表示されるようになります。海外ユーザーは、この専用カートに商品を入れて、決済画面に進みます。
決済画面ではユーザー希望の通貨によって送料や手数料を含めた金額、注意事項などが表示され、決済を完了することができます。
その後、決済された商品を、サービスを提供している事業者がユーザーに代わって購入し、国際発送の対応をするという仕組みです。
メリット
ECサイトの店舗側としては、代行サービスの事業者からの注文に応対し、国内にある代行サービス事業者指定の場所に商品を発送するだけで良く、ユーザーのサポート対応も代行サービス事業者が行う場合が多いため、上述したような海外販売で発生する課題への対応を大幅に減らすことが可能です。
サービスの導入コストも安価な場合が多く、海外決済、海外発送、海外ユーザー対応までをすべて委託できることから、既存のECサイトを持っている事業者であれば、事業規模の大小を問わずに海外販売を始めることのできる方法と言えるでしょう。
デメリット
デメリットとしては、購入代行サービスは国内に複数あり、条件やサポート範囲が異なるため自社ECサイトにあったものを探す必要があります。
また、ユーザーがやりとりするのは代行サービス事業者となるため、購入者との継続的な関係構築(CRM)などの直接的な対応はしづらくなります。
上段で、ECサイトの越境対応方法として様々な手段をご紹介しました。
一方で、越境ECの課題のもう一つが多言語での表示対応です。海外から購入できる環境があったとしても、商品説明が読めない状態では、ユーザーは購入を躊躇する可能性があり、サイト内を回遊して他の商品に興味を持つような行動はとりにくくなります。
ECモールで商品説明が母国語では無い場合、ユーザーはモールの翻訳機能を利用するか、自身で翻訳して商品を選択することになります。
では、言語対応についてはどのような手段があるでしょうか。
複数言語併記の場合は、せいぜい一言語の併記が限界で、あくまで補助的な併記が多くなります。さらに、検索エンジンにとって複数言語が併記されたページは、ターゲットの言語が判別しづらくなり正しくインデックス(登録)されず評価が下がる恐れがあります。
各言語の商品ページを別途作成する方法は、ページ作成や管理運用コストが高くなるため、限られた商品にしか対応ができなくなる場合があります。
では、冒頭でご紹介したWebサイト翻訳ツールとはどのようなものでしょうか。
Webサイト翻訳ツールとは、既存の日本語ECサイトなど、元になるWebサイトに導入し、多言語表示を自動生成するツールです。
簡単な導入で複数の言語に表示を切り替えることが可能になり、自動翻訳によって、あらたに追加した商品のページなども手間をかけず自動で多言語表示が可能です。
機械翻訳だけでなく人力で翻訳内容も調整ができるツールもあるため、ユーザー自身が機械翻訳を利用する場合よりも、ユーザーに訴えかけることのできる、より良い商品説明を各言語で用意することもできるでしょう。
また、海外検索エンジンへの対応機能を有している場合もあるので、多言語での検索に対応させることもできる可能性があります。
Webサイト翻訳ツールの詳細は、以下でも詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
ここまで、越境ECの対応手段をご紹介してきました。なかでも、比較的手軽に越境EC対応ができる組み合わせが、越境EC支援サービス(購入代行サービス)とWebサイト翻訳ツールの組み合わせです。
ここでは、なぜこの組み合わせが良いのか、メリットをご紹介します。
最大のメリットは、導入コスト・運用コストが低いという点です。
上述したように、購入代行サービスであれば、国内の事業者に商品を販売・発送するだけで済むため、海外販売で発生する様々な手間やコストを必要としません。
また、Webサイト翻訳ツールも、既存のWebサイトから自動で多言語展開するため、新たにWebページを作成する必要がなく、また、自動翻訳をベースとすることから、商品追加や、商品説明の変更の度に各言語の翻訳文を作成し、登録する必要はありません。
また、いずれも導入方法は大掛かりな開発・構築作業を必要としない場合が多く、月額費用も手頃なものが存在します。
WorldShopping BIZ
shutto翻訳
Webサイト翻訳ツール「shutto翻訳」は、越境EC支援サービス「WorldShopping BIZ」と連携し、国内EC事業者の海外への販路拡大を支援しています。
では、越境EC支援サービスとWebサイト翻訳ツールを組み合わせた際の注意点やデメリットはどのようなものがあるでしょうか。
越境EC支援サービスは、代行サービス事業者がユーザーに代わって商品を購入するため、ECサイトに海外ユーザーの情報は残りません。
ユーザーがサイトを訪問した際の閲覧データや、代行サービス事業者が提供する購入情報から、国や言語別の購入データなどは確認ができる場合がありますが、ユーザー個人との繋がりをつくることは難しいでしょう。
Webサイト翻訳ツールは、機械翻訳の精度はまだまだ完璧とはいえないため、ユーザーにとっては分かりづらい説明になってしまう場合もあります。各言語をより良い商品説明にしたい場合は、やはり人の手で翻訳し、その言語のユーザーに響くように書き直す必要があるため、それなりに時間的・金銭的コストをかける必要があります。
また、既存ページを自動で多言語展開するため、別途ページを作成するよりは自由度が低くなる点もあるでしょう。
また、いずれのサービスも、月額費用のかかるSaaSサービスが主流なため、利用料が継続的にかかる場合が多くなります。
まずは、より自社の商品に興味を持っているユーザーの多い国や言語を選択しましょう。
既存のECサイトであれば、Google アナリティクスのような分析ツールを利用することで、サイトに訪問した日本語以外のユーザーや、日本以外からアクセスされたデータを確認することができます。こうしたデータから、より購入意欲の高そうな国や言語のユーザーに向けた対応をとることが重要です。
購入代行サービスを利用する場合でも、海外で制限されている商品は販売・発送ができません。
そうした商品は、専用カートで購入ができないように対象外にする必要があります。自社の商品が他国へ販売・発送可能なものかどうかを事前に確認しましょう。
各サービスを導入したからといって、海外ユーザーの訪問数が爆発的に増えるわけではありません。
ECサイトを訪問したユーザーに購入できる環境が整い、多言語表示に対応しても、すぐに検索エンジンでECサイトを見つけてもらえるわけではないためです。
検索エンジン対策というと、SEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)で検索結果の上位を目指す方法がありますが、とても特徴的な検索キーワードの場合や、ターゲットのユーザーに向けたSEO対策をしっかりとやり込んだ状態でなければ、すぐに海外から自然検索(特定のブランド名など、固有名詞ではない検索)で見つけてもらうことは難しいのが実情です。
まずは、SNSなどを通じてブランド名や商品名の認知を促し、ブランド名や商品名など、固有名詞で検索された際に見つけやすいようにSEOの対策をする、といったように、ユーザーの行動を想定し、越境ECまでの動線をつくりましょう。
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また、海外には、大きなセールイベントが行われる日があります。代表的なものが、ブラックフライデーとサイバーマンデーです。
こうした期間に合わせて各国で多くの企業がセールを行うことから、ユーザーの購入意欲も高まっているため、この時期に大きく売上を伸ばせる可能性があります。
同じ時期にセールをするだけでは、十分な集客ができない可能性はありますが、広告やSNSプロモーションなどを活用して、世界の一大セールイベントの機会を捉えることも検討できると良いでしょう。
昨今は、ECモールや越境EC支援サービスができたことで、海外販売に取り組みやすくなってきています。日本の人口減少で国内市場は縮小傾向にあるため、インバウンド旅行者や、越境販売への取り組みは今後より重要になってくると予想されます。
海外販売をするには、事前の調査や理解を深めることは必要ですが、すぐに諦めてしまわずに、まずはより始めやすい方法で越境ECを始めることを検討してみては如何でしょうか?
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