コラム
機械翻訳のメリット・デメリットとは?ビジネスで導入する際のポイントも紹介!
従来、外国の言語を調べる手段は、基本的には辞書を使うしかありませんでした。しかし、最近ではインターネットを利用して知りたい単語、文章を簡単に翻訳することが可能になっています。では、インターネットを利用して行う機械翻訳を海外向けに情報を発信したい企業や店舗が自社のWebサイトに導入した場合、本当に伝えたいことが伝わるのでしょうか? そこで、機械翻訳の仕組みから、導入するメリットとデメリット、そして導入のポイントについて考察します。
機械翻訳の仕組み
機械翻訳とは、文字どおり人の手を使わずに機械を使って翻訳を行うものです。例えば、GoogleやYahoo! の検索ボックスに「機械 英語」と入力すれば、「machine」と表示されます。これも機械翻訳のひとつです。
インターネットが普及する前の翻訳といえば、辞書を使って行うことが当たり前でした。しかし、辞書で単語の意味を調べることはできますが、長文の翻訳となると翻訳する言語への理解が必要で、専門性も必要となるため、高額かつ多大な手間を要するようになります。それに対し、機械翻訳は長文でもクリック1つで翻訳可能なため、言語への理解がなくても簡単に短時間で翻訳が可能です。そうしたことから、現在ではビジネスの場においても機械翻訳が活用されるようになっています。
ひと口に機械翻訳といっても、前述したような検索サイトで行える簡易的な無料の機械翻訳サービスもあれば、より正確性の求められる翻訳に利用できる人的翻訳と組み合わせた有料の機械翻訳サービスもあり、用途によって使い分けることが可能です。そして、機械翻訳の仕組みには以下の3つの種類が存在します。
・ルールベース型
文法の決まり(ルール)にもとづき、文法と辞書を照らし合わせながら翻訳をするタイプの機械翻訳です。文法に則して文節、品詞の解析を行い、訳文の言語順に変換し、不足分については辞書データを参考に補うことで翻訳していきます。文法のルールをもとに翻訳を行うため、文語体の翻訳に強みを持ちますが、口語体の翻訳は文法どおりになっていないことが多く、対応が難しいというデメリットがあります。
・統計ベース型
ルールベース型はインターネット登場以前よりあったタイプですが、統計ベース型はインターネットの普及やコンピューターの進歩により進化した機械翻訳です。機械がインターネットを通じて膨大なデータを入手し、統計的なモデルを学習することで翻訳を行います。ルールベース型よりも翻訳精度は高いものの、原文と翻訳する言語の文法が異なっていると、翻訳精度が落ちてしまいます。
・ニューラル型
最新の機械翻訳として注目を浴びているのがニューラル型です。人工知能(AI)のもととなるニューラルネットワークを活用し、ディープラーニング(機械学習)によって文章のあいまいな文脈やニュアンスまでを踏まえたデータベースをつくり翻訳を行います。これまでの機械翻訳ではできなかった、画像に含まれている文字の翻訳も行えるなど、新たな可能性を秘めています。
機械翻訳のメリット・デメリット
次に、機械翻訳を利用することについてのメリットとデメリットを見てみましょう。
◆機械翻訳のメリット
・人力のサービスに依頼するよりも安価に翻訳が可能
翻訳をしたい文章量や内容にもよりますが、機械翻訳は人力翻訳サービスに依頼するのに比べると安価で翻訳を行えます。また個人、ビジネスに限らず、公的文書やより正確性が求められるケースにおいても、人力翻訳サービスに比べれば、安価で利用が可能です。
・簡単で手軽に始められる
人力翻訳を利用する場合、依頼する文書を洗い出したうえで依頼し、翻訳が行われた状態で納品されるという流れになるため、多くの手間と時間を要します。しかし、機械翻訳を利用する場合、クラウド上で完結するため 、時間と手間の削減が可能です。まずは翻訳を試してみたいといった場合に便利です。
・日常会話レベルであれば精度の高い翻訳が可能
機械翻訳の精度は年々、向上しています。 特にニューラル翻訳が登場した2014年以降では飛躍的に翻訳の精度が向上。例えばGoogle翻訳では、2016年11月に各単語を訳してから文章をつくる「フレーズベース翻訳」から「ニューラル機械翻訳(Google Neural Machine Translation:GNMT)」に変わり、その精度の高さがネット上で大きな話題となりました。そのため無料の機械翻訳サービスでも、簡単な内容であれば、精度の高い翻訳が可能な場合もあります。
◆機械翻訳のデメリット
・細かいニュアンスまでは正確な翻訳ができない
年々精度が上がっているとはいえ、正確な翻訳が難しいケースも少なくありません。例えば、口語体で正確な文法ではない、翻訳したい言語と翻訳先の言語で文法が異なる、多くの専門用語を使っているといった場合は、機械翻訳だけで正確な翻訳をすることは困難です。
・日本と海外の文化の違いを把握できない
翻訳を行うには言語の違いに加え、文化の違いも理解していないと正確な翻訳ができない場合があります。例えば、「アニメ」や「オタク」といった日本固有の用語や擬音といったものを機械翻訳を使って翻訳することは簡単ではありません。
・人の目による二重、三重のチェックが必要になる
上記2点を踏まえ 、機械翻訳で行った翻訳文書を公式なものとして表に出すことは難しく、必ず人の目による二重、三重のチェックが必要となります。どういった文書であれ、最終的なチェックは人が行いますが、機械翻訳の場合、その前段階の翻訳が正確かどうかのチェックが入るため、その分手間がかかります。
機械翻訳をビジネスで導入する際のポイント
ディープラーニングを使ったニューラル翻訳により、急速に進化を続けている機械翻訳。インターネット上で気軽に活用できるようになった2000年代前半ではなんとなく意味は伝わる程度のものでしたが、現在では精度の高い翻訳が実現できるようになっています。しかし、公的文書での利用となると懸念点も多く、課題もあるというのが現状です。機械翻訳だけに頼るのはリスクが高いといえるでしょう。そこでポイントとなるのが、機械翻訳と人力翻訳の使い分けです。おおまかな翻訳は機械翻訳で行い、細かいニュアンスを伝えたい部分、専門用語を多用する部分などに関しては人力翻訳を利用することで、ビジネスでの利用にも十分に対応することができるといえるでしょう。
ただし機械翻訳であっても、課題に対応できるものもあります。 Webサイト翻訳・多言語化対応ツール「shutto翻訳」であれば、ニューラル機械翻訳とプロによる人的翻訳の組み合わせによる翻訳や、ユーザー辞書登録機能による固有名詞の訳文登録、多言語用画像の置換作業ができるセルフ翻訳機能など、かゆいところに手が届き、課題に対応できます。また「最終的には人の目によるチェックが必要になる」といった点についても、プロの手によって対応することが可能です。承認したものを公開するといった運用フローが可能なため、権限管理機能によって翻訳者と承認者を分けて内容をチェックすることができ、人力翻訳のコストを最小限に抑えられます。
まとめ)多言語展開を検討している企業はまず翻訳サービスの選択を
昨今のインバウンド需要の高まりなど、世の中の潮流からもWebサイトを翻訳し、多言語化することはビジネスに必要不可欠となってきました。その流れの中で、どのような翻訳サービスを選択するかで、ビジネスの質も変わってくるのではないでしょうか。shutto翻訳は、コスト・操作性・導入のしやすさで、ユーザーから高評価をいただいております。無料トライアルもご用意しておりますので是非一度おためしください。
参考
機械翻訳の仕組みと性能を解説、英語翻訳で不利な日本語はビジネスにも悪影響|ビジネス+IT