Webサイトの多言語対応のニーズが高まる中、それに応えるツールやサービス、新たな技術も年々増えています。
本記事では「Webサイト翻訳ツール」と呼ばれるような、Webサイトの多言語対応を支援するツールの種類や、比較検討する際のポイントについてご紹介します。
Webサイトを多言語対応するニーズやメリットは様々です。まずはサイト種別ごとに多言語対応のメリットをご紹介します。
SNSや生成系AIなどによって情報収集の手段は多様化してきていますが、多くの場合、公式情報は公式Webサイトに集約されています。そのため、SNSでサービスを知ったユーザーにとっても、直接会ったビジネスパーソンにとっても、ブランドの公式サイトや企業サイトは重要な情報源です。SNSで手軽に海外ユーザーが商品やサービス、ブランドを知る機会が増えたからこそ、Webサイトの多言語対応は重要だとも言えます。
ECサイトの場合でも、多言語表示や越境購入の方法が用意されていなければ、海外ユーザーは購入を諦めてしまうかもしれません。多言語表示を用意することによって直帰率を抑え、回遊率を高める効果が期待できるため、海外からの売り上げを伸ばす施策の一つと言えるでしょう。
メディアサイトや、インターネットを通じてサービスを提供するSaaSプロダクトであれば、Webコンテンツやサービス画面を多言語対応することで対象ユーザーを増やすこともできます。
日本に住む外国人や、外国籍の社員も増えています。Webサイトの多言語対応は、在留外国人の暮らしやすさを高めることができ、企業ページの多言語対応は、広く世界から人材を確保する足掛かりとなります。さらに、企業内での社内コミュニケーションにおいても、社内ポータルサイトの多言語対応によって、外国籍の社員との情報格差を減らすことができるでしょう。
もしWebサイトを多言語対応したい場合、対応手段については、以下のような複数の方法が検討できます。
それぞれ特徴があるので、Webサイトの性質やどのようなユーザーに閲覧してもらいたいのか、また、海外対応の状況などによって選択できると良いでしょう。
中でも上記3や4のようにプラグインやツールを利用する方法は、比較的簡単に導入でき、コストも抑えることができるため、近年注目されています。
ただし、上記3のプラグインの場合は、利用しているCMSやプラットフォームに用意されているものに限られます。
一方で、上記4のWebサイト翻訳ツールは、CMSやECカートを含め様々な方法で作成されたWebサイトに導入可能です。こうしたツールは自動翻訳機能など、比較的機能が充実しているものが多く、また、後々異なるCMSなどにサイトをリプレイスした場合でも、大きな調整を必要とせずに継続して利用できる場合もあります。
そのため、本記事では、上記4のWebサイト翻訳ツールについてご紹介します。
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Webサイト翻訳ツールとは、既存の日本語サイトなど、元になるWebサイトに導入し、各言語のバージョンを自動生成するツールです。
公式サイトやメディアサイト、ECサイト、Webブラウザで提供されるサービス画面など、様々な種類のWebサイト、Webサービスで活用されています。
「Webサイト多言語対応ツール」や「Webサイト多言語化ツール」「Webサイト多言語化ソリューション」などとも呼ばれますが、機械翻訳、または人力翻訳の機能も持っていることから「Webサイト翻訳ツール」とも呼ばれます。
通常、言語ごとに個別にWebサイトやページを制作すると、それだけ更新の手間もかかりますが、Webサイト翻訳ツールを利用すると、日本語情報の公開や更新と同時に多言語でも同じ情報を展開することができます。
Webサイト制作に必要な、制作会社への外注や専門の技術スタッフの手がかからない(もしくは、少なくて済む)場合も多く、時間的・金銭的コストを抑えることができますので、導入面でも運用面でも便利なツールと言えます。
Webサイト翻訳ツールもサービスによって機能や操作性、導入の手間は様々です。
目的やコストにあったサービスを選択するためには、複数のサービスを比較検討する必要がありますので、以下では、ツールを比較検討する際のポイントをご紹介します。
上述したようにWebサイト翻訳ツールの多くは、機械翻訳機能を持っています。
機械翻訳というと、その精度面が気になるところですが、Webサイト翻訳ツールでよく利用されている機械翻訳エンジンは以下になります。
Google社が2006年にリリースした機械翻訳サービスです。2016年11月にGoogleニューラル機械翻訳と呼ばれるシステムに刷新され精度が大きく向上しました。2024年4月現在約135言語に対応しています。
ドイツのDeepL社が2017年にリリースした機械翻訳サービスです。2020年3月に日本語に対応しました。ニューラルネットワークを使用して翻訳を行う、最も高度な機械翻訳エンジンの1つです。2024年4月現在約30言語に対応しています。
2014年に設立されたみらい翻訳社が提供する機械翻訳サービスです。ニューラル翻訳エンジンをベースとし、2024年4月現在、日本語からは13言語、英語からは12言語、その他の言語から23言語に対応しています。
Webサイト翻訳ツールを提供している企業(または連携企業)が翻訳エンジンを独自に開発している場合もあります。
Google 翻訳とDeepL翻訳、どちらの翻訳精度が高いか、という点が言及されることもありますが、一概にどちらが上というようなはっきりとした差はついていないと言われています。
一般的にGoogle 翻訳よりもDeepL翻訳の方が、より自然な翻訳が得意とされ品質も評価されていますが、一方で訳抜けや意訳がなされる場合もあり、一見すると流暢な分、誤りに気がつきづらいと指摘されることもあるようです。
Webサイト翻訳ツールを提供している会社が独自に開発しているエンジンは、法律や医療など特定分野に特化したエンジンを用意している場合もありますので、強みを確認してみると良いでしょう。
昨今では上記に加え、複数の翻訳エンジンを独自に組み合わせていたり、生成系AIを活用した機能を用意しているツールも見かけられるようになってきました。
利用している翻訳エンジンによって対応言語も異なりますので、この点も注意しましょう。
機械翻訳を利用する場合、リアルタイム性や、翻訳表示のスピードもチェックしたい項目です。
Webサイトは新しいページを追加したり、ページの内容を後から更新することもあります。
その際の追加翻訳には手間がかかるのか、どのような運用が必要になるのかを確認し、導入後の多言語サイトの運用イメージを持つことが重要です。
また、中には言語を切り替えるたびに機械翻訳を新たに行う場合もあります。最新精度の機械翻訳を表示できるメリットもありますが、表示のたびに内容が変わってしまったり、言語表示が切り替わるまでに時間がかかってしまう場合もありますので、こうした点も確認できると良いでしょう。
機械翻訳を利用する場合、会社名や商品名、サービス名といった固有名詞が希望通りに翻訳されない場合があります。特定の単語の翻訳結果を事前に登録することのできる用語登録機能があると、自動的に精度を上げることができ便利です。
機械翻訳の精度も上がってきていますが、文章によっては多少なりとも違和感のある翻訳になってしまうことも、まだまだ避けられません。
そのため、機械翻訳の内容を修正できる機能や、プロの翻訳者に依頼できるサービスがあるかどうかも確認しましょう。
人力翻訳サービスを利用する箇所としては、ニュアンスによる印象や正確性が重視される箇所がおすすめです。作業コストや、依頼コストと照らし合わせて活用できると良いでしょう。
特に、SEOを重視する場合、機械翻訳のコンテンツは評価が上がりにくいため、機械翻訳だけではなく人の手を加えることのできるツールを選択しましょう。
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ツールの導入方法には、以下のような種類があります。
自社のサーバーにソフトウェアをインストールして利用する方式です。セキュリティレベルが高く保てることもありますが、元のWebサーバーへの影響やリスクも大きく、初期費用とランニングコストは高くなる場合があります。
インターネット経由で利用するサービスです。ソフトウェアのインストールやメンテナンスが不要で、機能がアップデートされたり追加される場合もあります。初期費用や月額費用が低く抑えられることが多いですが、個別のカスタマイズといった自由度が低い場合があります。
SaaS型とオンプレミス型のメリットを組み合わせた方式です。
昨今ではSaaS型のサービスが主流となっていますが、各社導入に必要な作業は異なりますので、導入に必要な作業にはどのようなものがあるのか、技術的な情報に詳しい担当者の手が必要かを確認できると良いでしょう。
さらに、Webサイトは新しいページが追加されたり、内容が更新されることも少なくありません。その都度、技術者の手を必要とするなど、対応できる人が限定されるようでは、せっかく多言語対応していても、多言語での情報更新ができずに元の言語との情報に差が出てしまう場合があります。
導入後の運用の手軽さも確認し、継続的な運用イメージを持てることが重要です。
機械翻訳された内容を編集できるかどうかの確認はもちろんのこと、テキスト以外の部分も変更ができるかを確認しましょう。
本来、Webサイトを多言語で展開する場合、ユーザーの文化や習慣、ニーズに合わせて最適化する「ローカライズ」を行うことが理想です。地域によって見慣れたサイトデザインやメニュー配置、ボタンデザインなども異なるためです。ただし、Webサイト翻訳ツールを利用する場合、特定の言語を元に展開することが多いため、大きく変更することは難しい場合も多く、言語ごとに必要な変更にはどういったものがあるか事前に整理し、それを実現することができるのか、編集機能を確認できると良いでしょう。
多言語サイトにした場合、それだけで、海外からたくさんの人に見てもらえるように思ってしまいがちですが、多言語対応の方法や利用するツールによっては検索エンジンに対応できない場合もありますので、確認が必要です。
検索エンジンはクローラーと呼ばれるロボットがインターネット上に公開されているWebページを辿って情報収集し、URLやサイトの情報をインデックス(検索エンジンに登録)します。この時に、各言語ごとのURLの有無や、必要情報の有無によってはインデックスされない場合があるのです。
また、インデックスされたとしても、検索結果の上位に表示されるとは限りません。
通常のSEO施策に加えて、複数言語で展開するサイトの場合は、「海外SEO」とも呼ばれるポイントにも注意をし、各ツールで対応できるか確認しましょう。
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他社のツールを利用する場合には、セキュリティリスクを確認する必要が出てくることでしょう。
特にSaaSサービスを利用する場合は、サイトの情報をツール側のシステムが保持する場合があるため、情報資産や顧客情報の安全性を確保する必要があります。
Webサイト翻訳ツールを利用した際には、翻訳するためにサイト上の情報をツール側に渡す必要がありますが、ツールが外部の翻訳会社や翻訳エンジンを利用している場合は、翻訳を実施している先にも情報が渡されます。
利用規約やサービスの説明資料をよく確認し、個人情報や機密情報は翻訳対象から除く機能を有しているかどうかも導入時には注意しましょう。
サイト翻訳ツールは様々ありますが、以下のような比較サイトがありますので、参考にするのも良いでしょう。
ただし、Webサイト翻訳ツールは、比較的新しいサービスであり、また、日々進化しているため、情報が実際と変わっていたり、最新のサービスが掲載されていない場合も多くあります。
いくつかのサービスに問い合わせをし、実際に比較してみることが重要です。
▼ITreview カテゴリ「サイト翻訳ツール」
https://www.itreview.jp/categories/website-translation
▼TECHNO-PORT INC.「Webサイト翻訳ツールとは?検討時のチェックポイントやおすすめツールを紹介」
https://marketing.techport.co.jp/archives/29616/
▼OREND「サイト多言語化ツール比較10選 | メリット・ECの外国語対応・おすすめ無料プラグイン・サービス」
https://orend.jp/mag/a0173
いかがでしたでしょうか?
業種にもよりますが、近年は、英語対応のみならず、アジア圏や中東圏といったような、多様な言語への対応の必要性も増えています。多くの言語に対応する場合、言語ごとにサイトを制作するのはコスト面や運用面で実現が難しいと感じることも多いのではないでしょうか?
Webサイト翻訳ツールは導入が簡単で料金も手頃なものもあり、複数言語に同時に対応できますので、まずは自社に合ったWebサイト翻訳ツールを活用し、世界中からWebサイトに訪問するユーザーが利用しやすいように多言語対応を始めてみてはいかがでしょうか。
イー・エージェンシーでは、Webサイト翻訳ツールの一つである「shutto翻訳」を提供しています。充実した編集機能や、SEO対策にご利用いただける機能もご用意していますので、ぜひ、比較検討に加えてみてください。
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