ECサイトを運営するうえで、商品をカートに追加してもらえても、購入にまでは至らなかったということが多くあるのではないでしょうか。このようなことを、カゴ落ちと呼びます。
カゴ落ちはどのような理由で起こるのでしょうか。本記事では、カゴ落ちが起こる原因や、予防する方法について解説します。
カゴ落ちとは、ECサイトでカートに入れた商品を購入せず、サイトから離脱してしまうことを指す言葉です。カート放棄・カート離脱といわれることもあり、さまざまな要因で引き起こされます。
例えば、サイトのUI(User Interface)が使いづらいと、カゴ落ち率は上がってしまうでしょう。どこから購入ができるかわからなかったり、クレジットカード情報を入力することを不安に思ってしまったりすることが原因で、カゴ落ちが起こります。
カゴ落ちが多いと、サイトの売り上げが下がってしまうため、できる限りカゴ落ちを起こさないようにすること、また、それでも発生したカゴ落ちをいかにしてフォローするかが重要です。
カゴ落ちの発生確率と機会損失額は、それぞれどの程度生じているのでしょうか。
イー・エージェンシーが提供するカゴ落ち対策ツール「CART RECOVERY®」の2021年4月~2022年9月の利用状況を調査した結果、カゴ落ち率の平均は約64.7%でした。
また、同様の調査でカゴ落ちが原因の機会損失額は売上の約2.0倍にのぼる結果が出ました。
どちらも大きな数字であり、気づかないうちに多額の売上を逃している可能性があると分かります。
関連記事「<調査報告>ECサイトのカゴ落ち率は平均は約64.7% ~ イー・エージェンシー|」
続いて、ECサイトでカゴ落ちが発生する理由や原因を11個に分けて解説します。
購入に至る過程で、ユーザーに与えた負担や不満がカゴ落ちにつながります。
ご自身のサイトに当てはまる点はあるのか、確認してみましょう。
カート離脱をした理由(n=4,263/2019年)
出典・参考:Baymard Institute「41 Cart Abandonment Rate Statistics」をもとに
イー・エージェンシー作成
ECサイトのユーザビリティは、カゴ落ち率を左右する要素の一つです。
ユーザビリティとは直訳すると「使いやすさ」の意味であり、ECサイトでは操作性や利便性など、ユーザーの快適な購入体験に影響します。
デザインが見づらい、情報を探しにくいなどユーザビリティに問題があると、ユーザーのサイト離脱やカゴ落ちを招くでしょう。
商品価格に追加される費用が高すぎると、ユーザーが購入をやめてしまう場合があります。
多くのECサイトでは、購入の際にあわせて配送料やシステム手数料が発生します。
商品に興味を持ったユーザーが、購入画面で追加費用の金額を知った途端に離脱するケースが存在するでしょう。
各料金はサイトの運営上で必要な金額である一方、設定額が高すぎるとむしろ売上を逃す結果につながります。
購入時にアカウント作成・会員登録が必須だと、ユーザーは面倒に感じて離脱してしまう場合があります。
ECサイトは誰でもアクセスできるため、初めて訪問してすぐお試しで購入を検討するユーザーも存在するでしょう。
継続して購入する予定がない状態では、ゲストの状態で購入したいと考え、アカウントを作りたくないと考える可能性があります。
購入完了までのプロセスが長すぎる、または複雑すぎると、ユーザーが購入までたどり着けず離脱してしまうことがあります。
ECサイトでの具体例としては、画面の遷移する回数が多すぎるケースや、購入完了までにかかる残りのステップ数が分からないケースです。
カートに入れた時点で支払う金額が明確に分からなければ、予算と費用の比較ができず、カゴ落ちにつながることがあります。
特に、複数の商品を同時に購入する場合、合計金額がすぐに表示される設計でなければ、価格情報がユーザーにうまく伝わらないでしょう。
ユーザーは価格を把握したうえで商品の購入を検討します。その価格が正しく伝わっていなければ、購入されずカゴ落ちにつながります。
決済手段としてクレジットカードを使用する場合は、ユーザーからサイトへの信頼が重要です。
もしもクレジットカード情報が外部に流出すると、個人情報の漏えいやカードの不正利用の被害に遭うおそれがあります。
そのリスクでユーザーに不安を与えてしまうと、カゴ落ちにつながります。
特に会社情報が不明、もしくは分かりづらいと、ユーザーの信用を得られない可能性が高いでしょう。
商品の到着予定日がユーザーの想定よりも遅すぎると、カゴ落ちにつながります。
ECサイトの利用目的として、実店舗へ買い物に行く時間がないものの、今すぐ商品を手に入れたいケースが存在します。
その際に、取り寄せや商品準備の都合で発送にかかる日数が長すぎると、ユーザーは離脱して別サイトでの購入を検討するでしょう。
サイト上でシステムエラーが発生すると購入完了まで進めず、カゴ落ちにつながります。
ユーザーの操作や閲覧環境の問題でエラーが発生している場合、対処法がユーザーに伝わらなければ解決しない可能性があります。
特に、購入の意思があるにもかかわらず、サイト上のエラーが原因で離脱されるともったいないといえるでしょう。
返品のルールに納得できないということで、カゴ落ちにつながるケースも存在します。
オンラインショッピングでは、商品の状態や仕様を目視で確認できず、実物が思ったものとは違ったということで到着後に返品を希望する場合があります。
返品の条件やルールが厳しすぎると、返品を申し入れても対応されない可能性があると不安に感じたユーザーの離脱を招く可能性があるでしょう。
使用できる支払方法の種類が少なすぎることも、カゴ落ちの原因です。
例えば、クレジットカード以外の支払方法が利用できない場合は、そもそもクレジットカードを所有していないユーザーの購入機会が失われます。
前述のシステムエラーと同様に、購入の意思があってもECサイトの都合でカゴ落ちしてしまうため、もったいない機会損失だといえます。
クレジットカードで支払う場合でも、決済が拒否されるとカゴ落ちに至ることがあります。
利用限度額の超過やカード情報の入力ミス、通信エラーなどの原因でクレジットカード決済に失敗するケースがあります。
決済は購入完了に至るまであと一歩のプロセスであるため、ここでのカゴ落ち・サイト離脱で売上を逃すと痛手です。
この章では、カゴ落ちを未然に防ぐための対策を7つ紹介します。
前述したカゴ落ちの原因・理由に応じて、それぞれを解決できる具体策です。
原因と対策を読み比べながら、ご自身のECサイトに改善策を施しましょう。
初めてアクセスするユーザーの目線でECサイトを客観視し、機能を改善させましょう。
異なる閲覧環境のどこからでも使いやすい構成とデザインを持つサイトなら、ユーザーに余計な負担をかけることなく利用してもらえます。
例えば、読みやすいフォントや、統一感がある平易なデザインを採用する施策が有効です。
ユーザー負担の費用を可能な限り少なく設定したうえで、支払額が分かりやすく表示される設計を取り入れればカゴ落ち対策に効果を発揮します。
送料やシステム手数料を下げると経営に悪影響が出る一方、それで売上が伸びれば経営が安定する可能性も秘めています。
また、複数の商品を購入するユーザーには、合計金額の情報を常に提供しましょう。
費用だけでなく、ステップ数をできるだけ少なくすることも重要です。残りのステップ数がどの程度なのかを視覚的に分かりやすくしておくことも、カゴ落ちを防ぐためには重要です。
購入前のアカウント作成や会員登録は、強制せずに任意作成に切り替えることが大切です。
手軽にお試しで購入したいユーザーにとって新規会員登録は不要であり、その作業が面倒でカゴ落ちにつながる場合があります。
ゲストとしても買い物できるシステムを導入しておけば、初回の購入体験に満足したユーザーが2回目以降に会員登録をする可能性もあるでしょう。
ユーザーの信用を得るために、サイトの安全性を高める施策が重要です。
セキュリティ対策に不安がありそうなサイトでは、決済に用いるクレジットカード情報を入力してもらえないでしょう。
SSLでデータ通信を暗号化し、ソーシャルサイトの連携ログインサービスを活用すれば、サイトのセキュリティ性能が高まります。
配送の遅延を防ぎ、また仮に遅延が発生した際にはユーザーへの素早い周知が重要です。
気象情報や配送量の見通しを踏まえたうえで、遅れが出ないよう発送業務を調整すれば、事前に案内した日程どおりに荷物を届けられるでしょう。
また、災害や事故など不可抗力の影響で、当日に配送の遅延が発生する場合もあります。
その際には、ユーザーへ配送遅延を素早く周知すると信頼につながります。
購入の手続きに際してシステムエラーが発生したときに、原因や解決方法をユーザーに提供できればカゴ落ちを未然に防げます。
エラー画面に解決手段や連絡先を記載しておく、またはQ&Aページやチャット機能を搭載すればユーザーの手助けが可能です。
また、ユーザーの操作ミスが原因のエラーが多発する際は、マニュアルや操作説明を充実させましょう。
購入と返品の両方が簡単に手続きできれば、カゴ落ち数の減少につながります。
商品画面から購入完了画面に至るまでのプロセスを減らす、または個人情報の入力画面を簡素化させるなどの対応で、手軽な購入体験が実装できます。
また、返品を簡単に受け付けるルールを明記すれば、より気軽に購入してもらえるでしょう。
前述の内容に加え、購入のタイミングを逃すことで発生するカゴ落ちも存在します。
特に、すきま時間を利用してスマートフォンからECサイトへアクセスした際に、別の用事が発生してそのままカゴ落ちにつながるケースが頻発します。
この場合は、サイト側からユーザーに向けたリマインドのお知らせが有効です。
カゴ落ちから一定時間が経過した時点でのメール送信や、会員向けの広告発信など、ツールを用いたリマインド施策の実践が可能です。
今回は、カゴ落ちの原因や理由、その対策について解説しました。
購入の手軽さがECサイトの利点である一方、安全性に不安が生まれる場合や、手続きが複雑な場合にカゴ落ちが発生します。当記事で紹介した対策方法を踏まえて、ご自身のECサイトを改善しましょう。
また、対策をしてもカゴ落ちは一定数発生しますので、カゴ落ちの対策に向けて、専用ツールの導入がおすすめです。
弊社株式会社イー・エージェンシーの「CART RECOCERY®」は、カゴ落ち発生状況の分析やカゴ落ちメール(リマインドメール)の作成など、カゴ落ち対策に特化したツールです。
この機会に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ご利用料金は、初期費用50,000円(税別)、月額費用39,000円(税別)と良質なコストパフォーマンスを実現しています。最大2か月間の無料トライアルもご用意しておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。
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